旅日記-わが青春の1ページその2 北海道一周 第3日  昭和新山・室蘭  


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1960年(昭和35年)7月27日(水) 小雨、晴れ、曇り   mizu
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  4時40分ごろ目をさます。 隣りの部屋はまだ起きそうもないので,各々静かにオツトメあるいは化粧に行く。 5時半、隣りも騒々しくなる。 リックづめも終わり、宿の主人と別れを告げ、駅へと進む。 あの二人は、なごりおしそうに最後まで、見送ってくれた。---お客の中にこんなにも親切な愉快な人はいるだろうかと。 
 我々は、線路づたいを歩いて軍川駅につく。 ここで、また園芸学部の三年生にあう。 三人の女性だけであるので<要注意>少し話をする。 急行大雪に乗るが満員。 道内にあって、まだ一度も座って行ったことがない。 デッキで立っていても眠くなってくる。 東京のヤンチャ娘とも気軽に話しかける---<浮気者め!><自分に言い聞かせたところ> 海が、山が、電柱が走る。<ウソダ、走っているのは汽車だけ>唄も車内に走る。お客もトイレへと走る。 一時間ほどゆれて、長万部につく。 園芸の面々と別れ、駅を出る。 食堂を探し、メニューを見る<につけ>いずれもラーメン60円。 稲毛では2度食えるものを。 結局食堂(側)も用意してなく、気動車で虻田へと向かう。 空はすっかり晴れてきた。 これも当番によって左右するものかと考えると・・・・・・
 車は快適。 家も、人も飛ぶ。 娘さん、子供、お婆ちゃんまでにも手を振っている男。 無邪気なものだね。 5分間停車。 途中下車もしないのに、ハンコ欲しさにわざわざ出口まで走ってくる親切な人もいる。 いくつかのトンネルを越え、虻田につく。 ここで、もり・かけ40円を1分たらずでたいらげる。 ”立て飢えたるものよ・・・・”   今まで一度も満足にメシを食ったことがないほど、少量である。
 ここよりバスで終点の洞爺湖温泉より十五円安い見晴台までキップを買う。 工事中ではあったがキレイに舗装されているのを見るにつけ、大資本がここまで延びてきているのかと思った。<ガンバレ経済学士> 重い荷物を持って見晴台より歩く。 下田街道を歩いたときを思い出す。 湖畔にたどりつき記念写真を一枚。 大沼湖より、いや上野駅の感激というものは何にもなかった。
 昭和新山の登山口までバスで行く。 これからが楽しい? お土産屋にリュックを預け登る。 山は400mそこそこであるが、ガス<水島のガスも含んでいる>煙が濃々とたちこめ、確かに昭和時代の新しい山という感じを受けた。 ここで記念写真をとろうと、後ろにいた女子高生らしき人にモーションをかける(お願いする)<これより前に序曲あり>。 それ以来非常に親しくなり、頂上まで一緒に登ろうということになる。 話は東京の女性にはない柔らかな関西弁で話されるので、我々<我々ではない>もポーとなり、<無理をして>唄を歌いだすしまつ。 話は進む。神戸女学院という大学<関西の一流校だそうだ>の二年生と聞いて驚く。 まだ子供だなあと<これは取り消した方が良い> 途中、彼女らを残し我々だけで頂上に立つ。 あたりはガス、ケムリ、霧で何も見えない。ただ、絶壁の上に立っているということが分かるだけ。 岩の割れ目でタバコに火をつけようとしてつかなくて残念がっている男。 いたるところから煙が出ていて、穴に紙を入れると火がつくといわれるほど、コワイところもある。----もどる。
 例のところで彼女らは待っていてくれた。 ありがたいものだ---  彼女ら六人を導きながら唄ははづむ。 ランラララン----。 
 又、ISさんらと逢う。 新山も雄大だが、ISさんも雄大<名文>だなあと。 ISさん不思議そうに 「紳士らしくやってね」 「いや・・・・」 彼女は上に、僕らは下に別れる。 大阪の人と、ここで別れをつげる。 又逢えることを祈<はか>りながら? ジュースを飲み、食堂でライスだけを取ってカンズメを切り昼食とする。 絵はがき買うもの、食堂のおネエちゃんと話をするもの<若きウェルテルの悩み>、いろいろ。 登山道入り口までバスに乗り、そこから壮瞥行きのバスに乗りかえる。 その間、<アイスキャンデーを食べる。一本5円>音に対する人間の本性というものをいろいろ知らされる<?>。 
 伊達紋別行きの一両の気動車に乗る。 ここも満員。はげたおじいさんの毛を数える。 薄毛をいれておよそ30本。やがて、伊達紋別に着き、ここで下車。 ”DATE POLICE BOX”をデイトポリスボックスと勘違いして頭をひねるもの。 駅前には三階の丸通ビルがたっていた。 
 室蘭へと向かう。 今度はすわれる。 窓を開けると涼しくなり、顔の肌も<はじめから荒れていたのであるがさらに>荒れてきて、クリームを持ってくるべきであることを忘れていた。 海岸に沿って工場地帯に入る。 石油会社、製鉄会社、色々大工場があるようだ。 途中、升谷の友人が迎えに乗車してきて再会。 彼はまじめそうな<水島とはちがう>立派な青年である。 彼の説明を聞きていると室蘭に着く。 服部の親戚を探すがなかなか見つからない。 ここで夕食をごちそうになった。 今までの食事と全然ちがうごうかなものだった。 その上、ビールがうまかった。 もう少しいけたがセーブしておいた。<ガスに影響するので> 国際水準で。 テレビを見てここで一時間ぐらいダベッて、升谷は友人の家へ泊まりに行く。 あす駅で会うことを約束して別れる。 室蘭の夜景はキレイであるが、騒々しいところである。 北海道の自然の美しさだけを見るのではく、工場地帯もまたどんな人がいるかも知っておく必要があろうかと思う。 美人が多いということも。 製鉄所の音、汽車の音、<○○の音>、汽笛。 真夜中であるにもかかわらずこれらの音が続く。 なんて騒々しい町なんだろう。 寝る。 0時30分 
<服部は寝てからボクをなくる。何も悪いこともしないのに・・・・>

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