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三浦半島の照葉樹林 と ソナレマツムシソウの復活
2003-11-3

三浦半島の照葉樹林
ソナレマツムシソウ
横須賀花の国・ハーブ園のセイジ
ツワブキ
イソギク(磯菊)も咲きました  2003-11-15 追記
センニンソウ


三浦半島の秋。 オオシマ桜の紅葉が始まってはいますが、今、半島全体としては地味な色に包まれています。

その地味な色で、かねてから気になっていた照葉樹林について、観音崎自然博物館の副館長さんから聞くことが出来ました。

なるほどと、疑問が解けた様な気がします。

そして、三浦半島の絶滅危惧種で、今が盛りと咲き誇る花や、人工的ですが色鮮やかに咲くハーブなども紹介します。

        



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三浦半島の照葉樹林

三浦半島を代表する照葉樹としては、ブナ科のスダジイ、クスノキ科のタブノキ、ヤブニッケイ、シロダモなどだそうです。 ところが、意外にもこの中に半島南部の山を覆い尽くしている感のある「マテバシイ」が入っていません。 このマテバシイ、実は人工的に植えられたものだそうです。 鹿児島、屋久島などに自生する木を、その地方出身者がこの三浦半島に持ち込んだのだそうで、いまでもこの木を「サツマ」と呼ぶ人もいるそうです。 戦後、マキや木炭用として自生していた木々を切ってしまったあとに植林したようです。 だから、樹齢はせいぜい数十年とのこと この木は三浦半島の主かと思っていたのですがそうではなかったのです。 この半島ではそもそも原生林は一部の谷あいなどを除いてもう殆どないそうです。 残念ながら。

一般に、荒地にはまず針葉樹が生え、その落葉で肥料分が出来てくると次に落葉樹が増え、その次が常緑の照葉樹に変わるのだそうです。 この半島でスダジイ、タブノキ、ヤブニッケイ、シロダモなどのある森には落葉樹も混じり多様な植生が見られます。 しかし、マテバシイが増えるとそれだけの森になってしまうのだそうです。 マテバシイはびっしり葉を広げて完全に太陽光をさえぎるために、下草も生えなくなってしまうとのこと。 三浦半島ではこのマテバシイが増えすぎてしまった、ということのようです。 遠くから見ると、見事な照葉樹林に見えますが、あまり歓迎できない植生の最終の姿なんですね。 たしかに、元気いっぱいの森とはいえない雰囲気はありました。 元気良い新しいサイクルに入るには天変地異でも起きないとダメなのでしょうか。 そのようにデザインされているのでしょうか。 この三浦半島にも危険な活断層がありますから。

この話を聞いて翌週の休日、我が家の近くの「山」に入って見ました。 初めてのルートでした。 誰一人に会うこともない鬱蒼とした森を尾根伝いに歩いてみて、説明が非常によく理解できました。

下の最初の写真は、「山」に入って尾根に出たあとずっと続いたマテバシイの林です。 地面はマテバシイの枯葉以外には何もありません。

  
このようなマテバシイの森がずっと続きます。
暗すぎるので写真のとれる明るいところを選んで撮影しました。実際にはもっと暗い感じです


次の写真は、そのマテバシイの林が切れるところです。 明白にその境界がわかります。 明るくなって草が生え、木々も多種多様です。 マテバシイもありますが他のシロダモなどの照葉樹も混じっています。 しばらく行くとキク科の花が群生しているところもありました。
  
右手前の木がマテバシイです。 ここまでずっと続いてきたマテバシイの森でしたが、
この木を最後として、境界線でもあるように
この先は光りとみどりのある、多様な植物の森に変わります




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ソナレマツムシソウの復活


2万年前の最後の氷河期に低地に降りてきた植物は、気温の上昇とともにだんだん山に戻って行ったのですが、海岸地帯も風が強いなど高山に似たところがあって、山に戻らずに海岸に残った植物があるということです。 「ソナレマツムシソウ」や「イソギク」もそうした植物です。 ソナレマツムシソウは崩れやすい崖などにしか生えない2年草です。他の植物が繁殖しているところでは生きられず、2年ごとにつける種子から成長できるのは他の植物がない崩れたばかりの荒地に落ちた種だけ、ということになるのだそうです。だから、土木整備が進んでいる現在では崩れやすいところがそんなにあるわけもなくて、三浦半島から絶滅の危機に瀕しているとのことです。 房総半島には群生地がまだあるようです。 「ソナレ」とは「イソナレ(磯慣れ」の意味で、通常のマツムシソウにくらべて背丈が低く、葉が厚いとのこと。 こうした特長は他の海岸植物(ハマ・・・)に共通する特徴とのこと。 「イソギク」も同様に絶滅の恐れがあったそうですが、復活の努力で今は三浦半島の多くで当たり前に見ることが出来るようになったとのこと。 イソギクはまだつぼみでした。
  


観音崎のソナレマツムシソウの群落です。ただし、復活のための人工的群落です。残念ながら。


できた種を自宅の庭から外に持ち出さない、と約束をしていただいてきたソナレマツムシソウ。
 一般種との交配がこうした種の絶滅を早めるためとのこと




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横須賀花の国・ハーブ園のセイジたち

花の国にあるハーブ園に行きました。 本当のお目当ては、ハーブ園の後で行った冒険ランドの滑り台だったのですが ローズマリーなど園内はハーブの香りでむせ返るほどでしたが、ちょうど、セイジの仲間たちが見頃でした。 いくつかをご紹介します。

  
メキシカンブッシュセイジ


メキシカンブッシュセイジ と 「アリ


パイナップルセイジ


アニスセンテッドセイジ




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談話室で話題になったツワブキ

ツワブキ と ホトトギス(ウチの庭で)



  

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観音崎のイソギクも咲きました

急に寒くなって、磯で遊ぶ人もまばらです。 海水がとても澄んでいます。 紅葉前線の到着にはまだ時間がありますが、海沿いの崖では山茶花が咲いて冬到来を告げています。ソナレマツムシソウを見に行った時にはまだつぼみだったイソギクが咲いていました。 この観音崎ではめったに見られなくなったために復旧作戦が行われているとのことです。 しかし、全国的に見ればあちこちに咲いているようです。伊豆下田付近では改良種も含めたイソギクが盛大に咲いてイソギク祭りが行われているとのことです。

 
観音崎自然博物館付近のイソギク


ゴジラが上陸したというたたら浜に咲くイソギク


近寄るとこんな花です



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センニンソウ

観音崎の海岸傾斜地に咲いていた白い花は何の花でしょうか?  とお願いしたら、すぐに連絡をいただきました。 センニンソウとのことでした。 ありがとうございました。 この花、通常はもっと早い時期(8月〜10月頃)に咲くようですが、天候のためでしょうか11月中旬の今もフレッシュな装いで咲き残っているようです。 キンポウゲ科のつる性でこの三浦半島あたりだと常緑のようです。
 


この花です。11月に咲く花としては清楚で目立っています。 センニンソウです 
こちらはクサギの実だと思います。上のセンニンソウの近くにありました。


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ご覧いただきありがとうございました

 
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