奥州街道の野仏たち | |||||||||||||||||||||||||||||||
宇都宮から白河に向かう途中の旧奥州道中でも書いたが、この街道沿いに目立つのは月待塔である。比較的近年になってから集められたと思われる石仏群にもかなりの数がある。特に二十三夜塔が多いようである。月待塔とは、それぞれの月齢のときに集まって飲食し、経を唱えて月を拝むという講の記念塔である。やはりこの街道沿いにも多い庚申塔は人体に宿る三匹の虫(三尸)が庚申の日に抜け出して天帝に宿主の罪業を報告するのを抑えるために、仲間と寝ずに勤行を行う講を3年18回続けた記念としての碑が庚申塔である。いずれも、もともとは大陸から来て平安貴族の遊び的な存在だったものが、庶民の民間信仰に変遷したものという。その他の甲子講なども同様に仲間と寝ずに飲み明かす講であり60日ごとに行われた。月待塔は周期が短くて頻繁に集まる講だから、酒好きの多い奥州では「60日も待てない」、と月待信仰を選んだのだろうか。
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