出梁造り(だしばりづくり)
 中山道の心躍る風景が登場してきた。 山と水と緑、そし東海道とは違う建築物である。 東の文化といえそうな、独特の重厚な形の蔵造りは、相変わらず美しい姿で楽しませてくれるが、出梁造り(だしばりづくり)と呼ばれ、二階が街道側に張り出た構造の民家が増えてきたのだ。 恐らく、木曽路に向かってどんどん数を増して、美しい街道の風景を特徴づけてれるだろう。 
 

 梁とは、棟(屋根の頂部)に直角方向に配置されて構造を支える内部の部材である。 これを外部まで張り出させて二階部分を支えているわけだ。 なお、旧東海道沿いにもたくさん見られた出桁造りは、棟に平行な構造部材である桁を外部にも据えて大きく、深い庇を支える構造である。 両方を組み合わせた構造も多いようで、街道沿いの木造民家の力強い形を作っているように思う。

 右の写真は出梁造りの例である。 これは信州の小田井宿本陣跡の立派な建物である。 もっと素朴なものや装飾をほどこした旅籠など、信州に入ると、ますますこの構造が増えてくる。