旅日記-わが青春の1ページその2  北海道一周 第15日   大雪丸・青森・  


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1960年(昭和35年)8月8日(月)    天候記録なし。晴?         mizu
                                       今日の地図

突然に目を覚ます。 左の窓には駒ケ岳が、右には太平洋の波が銀色に光っている。 北海道の最初の日にちょうどこの大沼公園を訪れたが、あいにく駒ケ岳が見えなかった。 今日は、はっきりと見える。 三人を見ると服部がうすらうすら、升谷すうすう、大原ぐうぐうと眠っている。 いびきをかいているものもいる。 函館に着く。 駅前の食堂(カレーライス60円)に入る。 函館山に登るために本屋のおじさんに聞く。 親切に教えてくれる。 服部は色本を買ってくれ、買ってくれと責める<みんなの意見を代弁しただけだ>。 ノーコメント。 市電に乗ること10分、登山口でおりる。 きれいに整備された町である--北海道の町全体に言えることであるが。 高田屋嘉兵衛の像が立っている。 バス道路を横に入り旧道を進む。 
 暑い! 北海道は暑い。 シャツ、パンツはびしょぬれ。 頂上には鉄骨の展望台があり、NHK,HBC等のアンテナがそびえている。 頂上。 すばらしい。 函館の町、港、全部が見下ろせる。 連絡船が入ってくる。 函館山は海中に隆起した山とのことで最高峰は335m。 一見、牛が伏しているように見えることから伏牛山とも言われている。 また、ここからの眺望、殊に夜景のすばらしさはわが国においてまれに見る絶景といわれている。 我々が登った頃は人気がなかったが、100円の市内観光バスが上がってくる。 キレイナ娘も乗っている。 <僕達はちっとも知りません(ハツ、マス、オオ>我々には目もくれない。 昼食。 牛乳とカンパン。 それに今まで残ったカンズメを整理。 梅干、一人三個以上。 面白い顔をして食べる。 大原は種まで腹に入れる。 一眠り。 帰りは我々もバスに乗って下りる。 氷水飲む。 お土産の買出しにデパートへ。アイスキャンデーを一本ずつ。
 大雪丸に乗船。 出航。 静かに岸壁を離れ我々は「帰国」の途につく。
 北海道よ、さようなら。 北海道の女性よ、さようなら。 二度とこの土を踏むかどうか分からない広々とした北海道よ。 しかし、僕はまた来たい。 せめて新婚旅行にでも<大分約束したようだが・・・・>。 
 楽しかった北海道の夢を見ながら眠りに着く(昼寝)。 目を覚ましたときにはすでに内地の山々が見える。 途中波が荒かったが青森の港に入ると波なし。 駅のホームを歩き駅前に出る。 街にはネオンサインが光っている。 いつものように番頭さんが迎えてくれる。 750円。 高すぎる。 我々の予算に合う旅館を紹介してくれる。 M館。 薄暗い一室に連れて行かれる。 定山渓の旅館を180度回転したようなキタナイ部屋。 津軽弁で話される。 意味はわかるが聞きづらい。 入浴。 食後散歩。 氷水一人2杯づつ。 プロボクシングのテレビを見る。 
 寝る。 10時半


連絡船の中で。(大原追記)
 我々4人の中の2人、不思議な女性の存在に気付く。
 今もって不可解。
 ちょっと太ったスマートな、目の黒い背の高い、一等の切符を持った女性。
 ”○○と○○の間に立って黙って海を見ていた。 青森の駅で最後に見た。
 
*きっと東京に行くのだろう、一人で。 
 船の中で何度も目を、視線を合わせた女性。
 今はどうしているのだろうか。 
 俺たちを知っていたのだろうか。 
 何も話さないで黙って○○と○○の間に立って、離れ行く北海道を見ていた女性。
 涙を浮かべて黙ってみていた女性*
     (注)  *と*との間は<事実に基づいて>創作

                                      今日の地図(青森)

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