旅日記-わが青春の1ページその2 北海道一周 第12日  札幌・石山  

旅日記-わが青春の1ページトップへ戻る      北海道のトップへ        前日に戻る         次の日へ

1960年(昭和35年)8月5日(金) 9割 晴         hat
 層雲峡の谷間に差し込む陽の光で朝早くから目がさめる。 しかし起き上がったのは7時。 四人とも動作がかんまんになっている。 予定より20分おくれて8時20分旅館を出る。 おひとり様530円也で今までの最高級旅館。 つり橋をわたって石狩川ぞいにしばらく下る。 おとといあたりから自動車のただのりについているので、きょうも「柳の下のどぜう」を待ったが、二度あるとも三度はなく、ついにバスに乗ることとなった。 天井がガラス張りになっている展望車。 途中で小雨が降り出す。 晴れ上がった層雲峡、雲のかかった層雲峡、そして雨にけむる層雲峡、それぞれ風情がある。 ガイド嬢が、「昔、一人のピリカメノコが、集落のおきてで愛してはならぬ他の集落の若者を愛して悩みくるしんだ」アイヌの伝説を語ってくれた。
 上川駅で10円牛乳を飲む。 うまいのか、うまくないのか。 「北海道の牛乳」だからうまい、ということになるのかもしれない。 但し、他の三人はだまってのんでいた。 準急オホーツクは満員。 デッキでも座る余地がない。 80キロのスピードで飛びすぎる窓外のケシキもただうらめしいばかり。 ここで作戦変更。 旭川でいったんおりて、次の準急に乗り換えることにする。 駅でソバを立ち食い。 待合室で待つ間、水島がおいしいオレンジジュースを作ってくれる。 12時43分準急「かむい」に乗って再び札幌へ。 発車前、列車の方向指示版を拝借して写真。
 5つ50円也のステまんを食う。 納内(オサムナイ)で途中下車のスタンプ。 検札に来た車掌もわれわれの乗車券を見て「大分ふん戦してますね」とほめたたえていった。 
 「かむい」は走る。 緑の石狩平野を。 青く澄んだ空と緑につつまれた平原との間を石狩山脈の山々が長く連なっている。 左右に拡がった景色に時々、二、三本のポプラの木が上下の変化を与えている。 <前に並んだ三ッの顔は笑いを与える> 東京を発ってすでに10日以上。道南をまわり今はもう列車は西に向かって走るのみ。 広い北海道を一回の旅行でかたづけるのは無理なことだが、それにしても心残りがないとはいえない。
 札幌駅に近づくにつれ、サッポロビールの広告が目につく。 15時2分「かむい」は3分おくれて札幌駅に着く。 きれいに整頓されて静かな駅前。 交番すら見当たらない。 駅前から定鉄バスで石山の選鉱場へ。 バスの中から市内見学、テレビ塔のすぐ側を通る。 30分程ホコリの中を走る。 すぐに合宿所へ。 4時をすぎたので選鉱場は見られないが、あすは本山見学ができる。 合宿所のひと時、撞球に興ずる。 空しく空をつき通すもの、一つだけ打って得意然としている者、何かのうっぷんを球にやつあたりして晴らしている者。
 散歩、テレビ、ラブレター書き。 ここでも北海道の一夜が静かにくれて行く。 <ここでいちばん楽しかったのは服部。 オレが汗を流している間に・・・・>

○話のタネ<まじめな> @北海道を通る列車はほどんど二重窓になっている。 旅館も二重窓。 火鉢に火を入れてお湯の冷めるのを防いでいる。
              A国鉄の駅に女の駅員をおいている所がある。 到着、発車のアナウンスに耳をかたむけよ! うえたる者!

旅日記-わが青春の1ページトップへ戻る      北海道のトップへ        前日に戻る         次の日へ