旅日記-わが青春の1ページその2 北海道一周 第7日  弟子屈駅  

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1960年(昭和35年)7月31日(日) 雨のち晴      mizu
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北海道に入り初めての温泉宿であるためか、おきるのが遅くなる。 どんな夢を見たか言い合うが、升谷は銀座を歩いている夢を見たとか<しかも二人で>。 東京が恋しくなったのかな。 一通り朝のオツトメをすませ本室に戻ると、異様なニオイをかぐ。 これも寝室とは別なのでくつ下の臭い<それにスカンクのいたずら><犯人は服部と水島>などであろうか。 朝食、750から500円まで値切ったわりには、御飯も多くおかずも豊富だ。 味噌汁、オシンコ、シャケ、タマゴ。 リュック詰めも終り、宿を離れる。 まだ発車まで一時間半近くあったので、我々は糠平湖畔へ行く。 我々が想像していたほどよくなく、これも大沼、洞爺<支笏を忘れるな>等のすばらしいケシキをみてきたせいか、これが人造湖であるせいであろうか。途中、旧線路に沿って歩きながら駅に着く。 手紙をかく。 ホームまで走り競って席をとる。 
 帯広までは昨日と同じコースなのでなんら関心を持たない。 最初歌を唄って、眠むけをおさえていたが、ついに服部、升谷、水島の三人は眠ってしまう<結局、往復眠りました>。 しかし、大原は最後まで眠らなかったようだ。 大原曰く「周囲の女の子たちが(我々を)見て笑っていた」と。 帯広で30分近くあるので、升谷、服部は昼食用のパンを買出しに行く。 その間二人はホームに残る。 同じホームに東京のおじちゃんがいて、話をするが、その間写真をパチパチとっている。 釧路行きの急行が5分近く遅れたが、我々は席を確保できた。 車中でパンを食べるがなかなかのどに進まない。 そこで、皆が梅干を食べる。 この梅干しを食べるときの顔、大原の顔、升谷の顔、服部の顔には誰がみても笑い出しましゅよ。<自分の顔はまだひどい>
 我々は機関車のすぐ後に乗ったので、大原はトイレットと車掌室をまちがえ、これも外人の牧師さんに言われたのであるから、大原照れること照れること。 これには我々も笑いが止まらなかった。 一時間ほどたつと遠ざかっていた海も見えはじめ、我々の目もそれらに向けられる。
海岸に沿って釧路へ、釧路へと汽車はスピードを上げる。 海岸には馬が、牛がいる。 馬を鹿と間違えるものもいる。 ---これを馬鹿というものか<まったくだ>。 線路の数も多くなり釧路の駅に着く。 そのまますぐ、第二摩周湖(号?)に飛び乗る。 3分停車。 段々家が一つ二つと消えて、何一つない草原が続く。 服部だけがちがったボックスに座ったが、独りのオジサンと話し始めると飛び移ってくる。 おじさんのいうところによると、これらの草原は湿地であり、海面と同じ高さなので水の流れもゆっくりしている。 また昔は五十石駅近くまで船でのぼって鉱物を運び出したとか。 また、ところどころ木が伸びているが、ハチとかヤチといわれ、何にも使い用もないとのこと。 この近くは雪、雨が少なく、エンバクやソバ、サトウダイコン、ジャガイモ等が作れるとのこと。<ノートした努力を認め単位を与える!>  アイヌの話では東北人との一代種はベッピンができるようだ。<例、軍川駅前>  おじさんと弟子屈で別れる。 駅を出て弟子屈旅館をたずねるが、本による450円ではなく最低でも600円とのことなので、もう一つ当たってみるが、市内では最低がやはり600円とのことなので、我々は 「Staion Hotel 」 に泊まることをカクゴする。 さっそく助役さんに交渉。 「待合室に今晩寝ていいですか」 「四人かね。学生さんだね」 「そうです」 「いいよ」。 小さな旅館で泊まるより名の通ったHotelで泊まるのであるから満足している。 せっかくホテルに泊まれるのであるが、体を暖かくしなければないので、夕食を二回食べることにした。 さっそく食堂をあさってみる。 交渉。 始め、天丼を注文したが飯の量が三人分しかないので、最初にうどんまたはソバ(40円)たべ、二度目には三人分のめしを4等分して60円にしてもらうことで妥結。 うどんに唐がらしをかけすぎ、はあはあしながら食べる。 作戦会議。 今晩、「ホテル」に泊まった関係上、阿寒湖までの金が浮くので、明日は川湯から摩周湖を通り阿寒に行くことに決定<本末転倒:阿寒に行くためにホテルに泊まる> 。 阿寒湖畔での宿は、営林署、学校、くまやの順で交渉にあたることとする。 この決定以来、服部は食欲下がる<うれしさでムネが一パイになったということ!>二度目の夕食、いや昨日の朝食もかねている。 天丼三人分しかなかった飯をわざわざたいてくれたのこと<女性のサービスつき>。 感激。 これも我々が駅にとまるというので、せめてのなぐさめであろうか。 寝室の用意。 腰かけを向かい合わせに二つ作り、二人づつ寝る。 我々が今まで泊まった旅館より、さむけはあるが、寝心地は今までで一番良いだろうと思いながら。 互いに抱き合って寝る<オコトワリだね>

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