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群馬県:宝川温泉の紅葉と雪
写真集
2002年11月4-6日
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 職場の創立記念日に年休一日を加えて11月4〜6日に群馬県の水上方面に出かけました。

 関東平野の青空と日本海側の雪雲が激しく入り混じるところで、晴れた空から雪が舞い、ボタン雪が降りしきると思うと陽が差してめまぐるしく変わる天候です。
 紅葉も足早に山を降りていると聞いていたので、すでに冬枯れの景色であろうと思っていました。 しかし、幸運なことに紅葉まっさかりでした。 山もみじが豪華にしかも気持ちよく色づいていました。 紅葉と岩の絶妙なコントラストを作る奈良俣ダムを下と上から眺めて、東京の水がめである利根川水系の重さを感じ、長野県のダム論争を思い出しました。 ダムサイトでの暖かい山菜そばが初日の昼食です。
 わずか5kmしか離れていない二つの温泉、湯の小屋と宝川への宿泊でしたから、時間はたっぷり。 ゆっくりと走りました。バス通りから少し入ると、素朴で昔通りの農村や豊かに色づいた林がありました。 ふるさと郷土館ちかくの田圃のなかに見事な桜の紅葉を見つけたときには感激しました。
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湖底にかつての郷が沈む「藤原湖」 から 紅葉が美しいロックフィルの「奈良俣ダム」
   深紅に燃える一本立ちの山桜を経て、タヌキの「湯の小屋温泉」
  

 
燃えるような紅葉に飾られた露天風呂群にたっぷりとつかり、食事では山の幸、川の幸を堪能しました。 湯の小屋温泉では野生のたぬきたちにも会いました。 餌台である大きくて平らな岩に夜8時ごろ餌を置くと、まず猫が来るそうです。最近は猫が増えてたぬきが迷惑を受けているとか。 猫達がいなくなるとたぬきが登場です。 ハクビシンやテンも来るそうです。今回もたぬきとほぼ同時に出てきたハクビシンを見ることができました。 翌朝は、カラスが残った餌を掃除し、その後また猫が登場して岩をなめていました。 たぬきを観察する窓があるのですが、フラッシュは厳禁です。 宝川温泉では熊にも会いました。 以前は熊も露天風呂に入ったそうですが、現在は法律的に禁止になったそうです。 夕食には、岩魚、ハヤ、鮎、テヘレ(?)などの川魚のほかに、熊肉までいただきました。 宿に飼っている熊たちではないと聞いてホッとしながら。

 県道から山間に数分入ったところに築300年という茅葺の「集古館」がありました。 懐かしい道具類はここの主人がご近所や遠くからせっせと集めたものだそうであふれんばかりに沢山ありました。 客は我々だけで、囲炉裏端でおばあさんのお話を聞き、ご主人がさっき採ってきたばかりのなめ茸をわけてもらいました。 
 その入り口からやや遠くに、華やかな山々に囲まれた田んぼの中に、真っ赤に染まった大きくて形の良い樹がひときわ目立っていました。 近づいてみると、田んぼの中のまるで盛りあげたような小山に、実に堂々として立派に立っています。 まるで巨大な記念碑のような風格です。 山桜でした。 これほど見事な色に染まったサクラは初めてです。
      
 宝川にいたる道はこれでもか、という圧倒的な紅葉に燃えていました。 藤原湖に注ぐ前の峡谷上の利根川の両岸は、いつまでも眺めていたい美しさでしたし、今朝方の雪がやや高い丘の木々を白く染めて、紅葉と薄雪の2段構えの配色は感動的です。 すでに紅葉の季節が終わっているだろうと、期待せずに来たのですが、実に実に見事な紅葉に完全に圧倒されました。

 宝川温泉では広くて大きな露天風呂がいくつもあり、紅葉の山を眺め、湯面に伸ばすかえでの枝の風情ある形を楽し見ました。


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宝川温泉の紅葉の中の露天風呂です  

 
降ってもすぐに地面で消えていた雪が、5日の夜になって積もり始めました。 風もなくしんしんとおりて来る大きなボタン雪でした。 雪見障子を通して見る雪景色は本当に久しぶりです。 夜中に、ときどきドーンという音がして、木造の宿ゆえ上の階の若者が酔って騒いでいるのかと思ったのですが、実は屋根から落ちた雪のかたまりがベランダの手すりにぶつかる音だったのです。

 夜が明けると全くの冬景色でした。 一晩で30cm積もったということです。 客も宿も大慌てです。 いつもより1ヶ月も早いのだそうです。 県道は通行止めで、水上駅方面への道も木が倒れて通れないということです。 道路が開通しても、タイヤチェーンを持っていないと通れず、みな頭を抱えていました。 我々は数十年ぶりに、持ってきたチェーンを巻いて待機しました。 宿の駐車場では、説明書を広げてチェーンと格闘する人たちも何組かいました。 ロビーでコーヒーを飲みながら待っている間にも谷の反対側の大きな木が倒れました。 その前に、その木だけがゆさゆさ大きく揺れるのを見て不思議に思っていたのです。 積もった雪を渾身の力で振り落とし、倒れないように頑張っていたのでしょうか。 今でも不思議です。

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  ひと晩で露天風呂もこんな雪景色に変りました

 1時間半ほどでチェーンをつけた乗用車だけが通れるようになり、おそるおそる走り始めました。
1時間ほど前に、ラジアルをつけているからと、チェーンもつけずに宿の駐車場から飛び出していった若者グループが途中で立ち往生していました。 しばらくの間、他に通る車もなく、心細い運転でしたが、さらに行くとブルトーザー、除雪車、新しい電柱を積んだトラックなどの救援隊が続々走ってきました。 バスが通れるようになるにはまだ大分時間がかかりそうです。
 
 国道に出るとまるでウソのように雪がありません。 心配だったチェーンはずしもうまく行き、快調に帰路に着きました。 
 見上げると、関東平野側は快晴。 谷川岳や朝日岳などの山の方向はまっくらです。 あの雪はまだまだ降り続いているのでしょう。
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